投球動作を繰り返すことで肩や肘に痛みが出るものを投球障害といいます。野球だけでなく、テニス、バドミントン、バレーボールなど、頭より上で腕を使う競技でも同じ形で痛めます。このページでは、なぜそうなるのかをご説明します。原因がわかると、ストレッチもトレーニングもフォームの見直しも、意味が変わってきます。
- 投球動作の段階
- 5つの段階に分かれ、痛みが出やすいのは後期コッキング期と加速期
- 原因は大きく2つ
- 投げすぎと、フォームの崩れ
- フォームの崩れの理由
- 肩甲骨の動きと、股関節のはたらき
- 意識だけでは変わらない
- だから、そうなった理由のほうを見ます
院長が動画でも詳しく解説しています。
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次のような場合は、施術よりも先に医療機関の受診が必要です。腕に力が入らない、感覚が鈍い。安静にしていても痛む。肘が伸びない、途中で引っかかる。腫れて熱をもっている。特に、成長期のお子さんの肘の痛みは、見つかるのが遅れると手術になることがあります。心当たりがあれば、まず整形外科にご相談ください。
投球動作とはどういう動きなのか?
下半身で生まれた力が、体幹を通って腕へ伝わり、最後にボールへ届く。投球動作を、私はそう捉えています。
下半身から体幹へ、体幹から腕へ。タイミングよく力が伝われば、無理なく投げられます。途中で伝わり方が崩れると、その分をどこかが肩代わりします。それが肩や肘です。
5つの段階投球動作は、ワインドアップ/早期コッキング/後期コッキング/加速期/フォロースルーの5つに分かれます。ワインドアップを除くと、全体でわずか1.6〜2.0秒です。
このうち痛みが出やすいのが、後期コッキング期と加速期。加速期にいたっては0.3秒ほどしかありません。
原因は、大きく2つあります
投げすぎ肩や肘は消耗します。どれだけフォームがよくても、投げすぎれば傷めます。特に成長期は、骨も筋肉もまだできあがっていません。
成長期は、筋力や体力をつけることより、体の使い方を覚えることのほうが大切だと考えています。それは野球の中だけで身につくものではなく、他の競技や遊びの中で覚えることもあります。
フォームの崩れよく挙がるのは「早い開き」「膝割れ」「肘下がり」「手投げ」「上体の突っ込み」です。
ただ、ここで止まらないでください。フォームが崩れるのにも理由があります。
「肘を上げろ」と言われたことはありませんか?
そう言われて、実際に肘が上がるようになったでしょうか。
投球動作は2秒ほど、痛みの出やすい加速期は0.3秒ほどです。そのあいだに「開きを抑えて、肘を上げて」と考えるのは、現実には難しいと思います。
指導が間違っているという話ではありません。意識だけで動作を変えるのが難しい、というだけのことです。だから当院では、なぜそのフォームになったのかのほうを見ます。
フォームが崩れる、2つの理由
肩甲骨の動き腕を最大まで上げるとき、肩甲骨は120度ほど回っています。肩甲骨が自由に動くには、背骨や胸郭(肋骨)が柔らかい必要があります。
肩甲骨が十分に動かないと、肘が下がったり、腕を引きすぎたりします。その状態で投げ続けると、肩関節に負担が集まります。
股関節のはたらき肩甲骨以上に大切かもしれません。股関節が硬いと重心の移動が足りず、「早い開き」や「膝割れ」につながります。お尻や脚の筋肉がはたらき、股関節が十分に動くことで、力が体幹から腕へ伝わります。
「早い開き」と「肘下がり」
早い開きは、その前の段階に理由がある股関節の使い方、骨盤の傾き、体幹の傾き、重心移動での膝の使い方、軸足とステップ足の安定。理由はさまざまですが、多くはワインドアップ期にあります。
ある段階で問題が出たとき、理由はその段階ではなく、ひとつ前の段階にあります。コッキング期で痛むなら、見るべきはワインドアップです。
なお「開き」と一口に言っても、4つのパターンがあります。骨盤が早く投球方向を向く/踏み込み足のアウトステップ/踏み込みのタイミングで上体も向く/肘が上がりきる前に上体が回る。
肘下がりは、開きから来ていることが多い肩関節や肩甲骨がよほど硬くないかぎり、肘下がりの理由は「体の早い開き」だと考えています。開きが変われば、肘下がりも変わってきます。
肘は「上げる」のではなく「上がる」
体の使い方がうまくいくと、肘は勝手に上がります。下半身と体幹が先に動くことで、ボールを持った腕が遅れてついてくる。これをLagging back現象(後方遅延現象)といいます。
釣り竿を振るとき、竿が後ろにしなるのと同じです。しなるから遠くへ飛ぶ。これを引き出すには、下半身の使い方、体幹の動き、腕の安定と可動域が要ります。
当院ではこのようにしています
どこを傷めているのかがはっきりすれば、そこへの施術で痛みに向き合えます。整形外科での確認が必要な場合には、そうお伝えします。
筋肉や関節の状態が変わっても、柔らかさや使い方、フォームがそのままなら、また同じところに負担が集まります。
投げるときに、どこへ負担が集まっているのか。肩甲骨と股関節の動き、そしてフォーム。そこに向き合います。
初めての日の流れ
話を聞きます。いつから、どんなときにつらいか。お仕事や生活で繰り返している動作を教えてください。ここをいちばん大事にしています。
体の動きを確かめます。肩甲骨・股関節・体幹、そして投球動作。どこに動きの制限があるかを、ひとつずつ見ていきます。
確かめたことにもとづいて施術します。体の反射を利用した神経筋促通法を軸に。強く押したりもんだりはしません。
何が起きていたかをお伝えします。確かめたこと、行ったこと、ご自宅でできることを説明します。次回の目安もここで。
お時間の目安は、初めての日が50〜60分、2回目以降が20〜30分です。症状によって変わりますので、初めての日は余裕をもってお越しください。
よくあるご質問
意識してフォームを直せばいいのでしょうか?
意識だけで投球動作を変えるのは、現実には難しいと思います。動作全体が2秒ほどしかないためです。当院では、そのフォームになった理由のほうを見ます。
肩が痛いのに、股関節を診るのはなぜですか?
股関節が硬いと重心の移動が足りず、体が早く開きます。そのぶんを腕で補うことになり、肩に負担が集まります。肩だけを診ていても届かない部分です。
成長期に気をつけることはありますか?
骨も筋肉もまだできあがっていない時期です。投げすぎには特に注意が必要ですし、筋力をつけることより体の使い方を覚えるほうが大切だと考えています。
痛みはありますか?
強い力で押すことはしませんので、痛みを我慢していただくような施術ではありません。動きを確認する際につらい動作をお願いすることがありますが、無理のない範囲で行います。気になることがあればその場でお伝えください。
どのくらい通えばいいですか?
目安として、はじめの1か月は2〜3回、その後は2〜3週間に1回のペースで通われる方が多くいらっしゃいます。おひとりずつ状態が異なるため一律ではありませんので、初回に体の状態を確認したうえで、通院の目安をお伝えします。
自分でできるケアは教えてもらえますか?
はい、お伝えしています。施術後に、その方の姿勢の癖やお仕事の内容に合わせて、ご自宅でできるストレッチや、作業中に気をつけていただきたいことをご提案します。院長はYouTubeでもセルフケアを発信していますので、あわせてご覧ください。
費用はどれくらいかかりますか?
当院は健康保険を扱っておらず、すべて自費での施術となります。保険の枠にとらわれず、その方に必要な施術に時間をかけられるためです。料金は料金ページに記載しています。
予約は必要ですか?
はい、完全予約制です。おひとりずつ時間をとっているため、一日にご案内できるのは15名までとしています。当日はご希望の時間が埋まっていることが多いため、前日までのご予約をおすすめしています。急な痛みでお困りの場合は、まずお電話でご相談ください。
初めてのときは、どのくらいみておけばいいですか?
初めての日は50〜60分、2回目以降は20〜30分が目安です。はじめにお体の状態を詳しくうかがい、確認したうえで施術に入るため、初めての日はその分お時間をいただきます。症状によって変わりますので、余裕をもってお越しください。
投球の指導をご希望の方へ
投球フォームの確認や、動きづくりの個人レッスンは、当院内のMORIピッチングラボで承っています。けがの施術とは別のご予約枠です。
MORIピッチングラボのレッスンについて →あわせてご覧ください
投げるときの痛みでお困りなら
投げるときの肩や肘の痛みでお困りなら、一度ご相談ください。完全予約制です。
ご予約はこちらお電話 075-432-7079
