この記事の要点
* 季節の変わり目の腰痛は、寒暖差と気圧変動で自律神経が乱れることが引き金になる
* 交感神経が優位な状態が続くと筋肉が硬くなり、腰の血のめぐりが悪化する
* 痛みが消えた=治ったではない。土台のバランスが残っているから毎年繰り返す
* 腰だけをケアしても改善しない人は、骨盤と体幹のバランスに原因がある
* 繰り返しを断ち切るには、痛みが出ていない今こそ体を整えることが必要
目次
はじめに

朝晩の空気がふと変わったと感じた頃、腰に嫌な予感が走る。
「またこの時期が来てしまった」
——そう思いながら、湿布を買いに行く自分がいる。
去年もその前も、同じことを繰り返してきた。
そんな経験をお持ちではないでしょうか。
季節が移り変わる時期になると、「毎年この頃になると腰が痛くなるんです」
とおっしゃって来院される方が必ずと言って良いほど増えます。
一度は良くなったはずなのに、季節が変わるとまた戻ってくる。
この繰り返しが何年も続いていると、「自分の腰はもうこういうものなんだ」と
諦めの気持ちが芽生えてしまうのも無理はありません。
しかし、はっきりとお伝えしたいことがあります。
毎年同じ時期に痛みが再発するということは、そこに必ず理由があるということです。
そして理由があるということは、変えられる余地があるということでもあります。
このブログでは、なぜ季節の変わり目に腰痛がぶり返すのか、
そして繰り返す人が本当に変えるべきものは何なのかを、丁寧にお伝えしていきます。
毎年同じ季節になると腰が悲鳴を上げ始めるのはなぜでしょうか

まず、季節の変わり目に何が起きているのかを整理してみましょう。
ここには、はっきりとした体の仕組みが関わっています。
最も大きな要因が、自律神経(じりつしんけい・内臓や血管の働きを自動的に調整する神経)の乱れです。
春や秋など季節の変わり目に腰痛がひどくなるのは、
急激な気温変化により体内の自律神経が乱れやすくなることが関係しています。
交感神経(体を活動・緊張状態にする神経)と副交感神経(体を休息状態にする神経)の
バランスが崩れると筋肉が緊張しやすくなり、腰の血のめぐりが悪化します。
その結果、だるさ・重さ・鋭い痛みといった症状が現れるのです。
ここで注目していただきたいのが、体が寒暖差に対して何をしているかという点です。
人間の体は体温を一定に保つようにできており、外に出たとき、家に入ったとき、
天候が変わったときでも体の中の体温は保たれています。
この体温を調節するのに脳、神経、ホルモンが働いています。
季節の変わり目には朝晩の寒暖差や日によっての気温差があるため、
体温の調整を頻繁におこなうことになります。
そうするとエネルギーを消耗して体に負担がかかり、腰痛を引き起こしていくのです。
つまり、あなたの体は季節の変わり目に「何もしていない」のではなく、
目に見えないところで必死に働き続けて疲弊しているということです。
何もしていないのに腰が痛いと感じるのは、当然のことだったのです。
さらに気圧の問題も重なります。梅雨や秋雨前線の時期は気圧の低下により血管が収縮し、
血のめぐりが悪くなることで筋肉が硬直しやすくなります。
寒暖差や激しい気圧の変化で交感神経が優位な時間が続くと、
副交感神経が優位になって体を休ませることができなくなり、
筋肉が硬くなってしまいます。
休めない体、緩まない筋肉。
この状態が腰に痛みをもたらすのです。
良くなったと思っていた腰痛がぶり返す人に共通していること

ここからが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
季節の変わり目に腰痛が出る仕組みは、今お話しした通りです。
しかし、ここで冷静に考えていただきたいのです。
寒暖差も気圧の変化も、日本に住むすべての人に等しく訪れます。
同じ地域で、同じ気候の中で暮らしていて、
なぜあなただけが毎年痛むのでしょうか。
当院で8万人以上の患者さんを診てきた経験から、
毎年繰り返す方にはある共通点があることがわかっています。
それは、「痛みが消えたこと」を「治ったこと」だと思い込んでいることです。
腰痛が出て、湿布を貼り、安静にして、数週間で痛みが引く。
多くの方はここで「治った」と判断します。
しかし実際には、痛みという症状が表面から消えただけで、
その痛みを生み出していた体のバランスは何ひとつ変わっていません。
骨盤の傾き、体幹の筋力の弱さ、片側に偏った体の使い方、硬くなったままの筋肉
——これらは痛みが消えた後も、そのまま体に残り続けています。
そしてこの残された状態が、次の季節の変わり目を待っています。
自律神経が乱れ、筋肉が硬くなり、血のめぐりが落ちた瞬間に、
もともと限界すれすれだった腰が再び悲鳴を上げる。
だから毎年、判で押したように同じ時期に同じ痛みが訪れるのです。
もうひとつの共通点は、腰そのものだけをケアしていることです。
痛いのは腰だから腰を揉む、腰を温める、腰にコルセットを巻く。
気持ちはよくわかります。
しかし腰は体の真ん中にあり、上半身と下半身の両方から負担を受ける場所です。
骨盤が傾いていれば腰は常にねじれ、股関節が硬ければ腰がその分を肩代わりし、
体幹の筋力が弱ければ腰の骨だけで上半身を支えることになります。
腰が痛いのは、腰が原因なのではなく、腰が犠牲になっているからかもしれないのです。
季節が変わるたびの腰痛と決別したいあなたが今日から始められることとは?

ここからは、繰り返しを断ち切るために今日から取り組んでいただけることをお伝えします。
大切なのは、腰そのものではなく腰を支える土台に働きかけるという視点です。
まず取り組んでいただきたいのが、股関節まわりをほぐすことです。
股関節が硬いと、本来股関節が担うべき動きを腰が肩代わりすることになり、
腰への負担が跳ね上がります。
腸腰筋(ちょうようきん・腰と脚のつけ根をつなぐ深部の筋肉)のストレッチから始めてください。
片膝を床につき、もう片方の足を前に出して体をゆっくり前に移動させます。
後ろ足の太ももの前側からお腹の奥にかけて伸びる感覚があればうまくできています。
20〜30秒キープして左右それぞれ2〜3セット。
次に大臀筋(だいでんきん・お尻の後ろ側の大きな筋肉)です。
椅子に座って右足首を左の太ももの上に乗せ、
背筋を伸ばしたまま上体をゆっくり前に傾けて20〜30秒キープしてください。
次に、体幹を支える力を取り戻すことです。
腰の骨だけで上半身を支えている状態から抜け出すには、
お腹まわりの筋肉が働いてくれる必要があります。
仰向けに寝て両膝を立て、お腹をへこませたまま30秒間ゆっくり呼吸を続ける
ドローインという運動が有効です。
腰を反らせず、床に腰をつけたままおこなってください。
1日3セットから始めましょう。
特別な道具も強い負荷も必要ありませんが、
続けることで腰を支える土台が少しづつ変わっていきます。
自律神経を整えることも欠かせません。
寒暖差に体が消耗しているのですから、その負担を減らす工夫が必要です。
朝晩の冷え込みが強くなる時期は、羽織るものを一枚持ち歩いて
温度差に体をさらしすぎないようにしてください。
入浴は38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分浸かることで
副交感神経が優位になり、緊張し続けた筋肉が緩みます。
シャワーだけで済ませている方は、
この習慣を変えるだけでも腰の状態が変わることがあります。
そして最も重要なことをお伝えします。
これらのケアは、痛みが出ていないときにこそおこなってください。
多くの方は痛くなってから慌てて対処を始めますが、
それでは毎年同じことの繰り返しです。
痛みが引いている今この時期に土台を整えておくことが、
次の季節の変わり目を痛みなく迎えるための一つの方法です。
日常の姿勢も見直してください。
足を組む、片側に体重をかけて立つ、いつも同じ肩にカバンをかける
——こうした習慣が骨盤の傾きを日々作り出しています。
座るときは左右のお尻が均等に椅子に当たっているか意識するだけでも、
積み重ねで変わっていくでしょう。
まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございます。
季節の変わり目に腰痛が再発するのは、あなたの腰が弱いからでも、
年齢のせいでもありません。
寒暖差と気圧の変動に体が消耗し、自律神経が乱れ、筋肉が硬くなる。
その状況で、もともと限界すれすれだった腰が悲鳴を上げている。
それが毎年の再発の正体です。
そして本当に変えるべきものは、腰そのものではありませんでした。
骨盤の傾き、股関節の硬さ、体幹を支える力の弱さ
——腰に負担を集中させている体全体のバランスこそが、変えるべきものだったのです。
痛みが消えたことを治ったと思い込み、
土台を放置してきたことが、毎年の繰り返しを生んでいます。
股関節のストレッチ、ドローイン、寒暖差への備え、入浴の習慣、姿勢の見直し。
まずは今日から、痛みが出ていない今のうちに始めてみてください。
ただ、長年かけて作られた体のバランスの崩れを、
ご自身のケアだけで完全に整えるのは簡単ではありません。
そもそも自分の骨盤がどちらに傾いているのか、
どの筋肉が硬くなっているのかを正確に把握することは、鏡を見てもわからないものです。
そして把握できないものは、整えようがありません。
毎年繰り返してきた方ほど、専門家の目で体を診てもらう価値があります。
当院では、体のゆがみを根本から整える整体と、
硬くなった筋肉に直接働きかける鍼灸を組み合わせた治療をおこなっています。
痛みのないソフトな施術で、腰痛を繰り返さない体づくりをお手伝いします。
当院は完全予約制ですが、季節の変わり目はご予約が集中し、
ご希望の日時にお取りできないこともございます。
痛みが出てから慌てるのではなく、まだ動ける今のうちにご予約をお取りになってご来院ください。
FAQ
Q1. 腰痛が出ているときにストレッチをしても大丈夫ですか?
A1. 痛みが強い急性期は避けてください。
炎症が起きている状態でのストレッチは症状を悪化させることがあります。
まずは安静にして痛みが落ち着いてから、無理のない範囲で始めるのが安全です。
判断に迷う場合は専門家にご相談ください。
Q2. コルセットは着け続けた方がいいですか?
A2. いいえ、常用は避けるべきです。
コルセットは急性期に腰を守る目的で使うものです。
長期間着け続けると体幹の筋肉が働かなくなり、
かえって腰痛を繰り返しやすい体になります。
痛みが落ち着いたら徐々に外していきましょう。
Q3. 季節の変わり目の腰痛は温めた方がいいですか、冷やした方がいいですか?
A3. 基本は温めてください。
季節の変わり目の腰痛は血のめぐりの悪化と筋肉の硬さが原因のことが多いためです。
ただし、ぎっくり腰のように急に強い痛みが出て熱感がある場合は、
最初の2〜3日は冷やす方が適しています。
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)



