目次
この記事の要点
- スポーツで起こる肩の痛みは、肩そのものが原因ではないことが多いです
- 肩甲骨が下がる、前に出るといった位置のズレが、肩まわりの筋肉に負担をかけ続けます
- ストレッチやマッサージが無意味なのではなく、「なぜ硬くなったのか」まで届いていないことがほとんどです
- まずは背中の写真を撮って、左右の肩甲骨の高さと前後のズレを確認してみてください
はじめに
「投げると肩が痛い」「打つときに肩が痛む」。そんな状態が、もう何か月も続いていませんか。
ストレッチもしている。インナーマッスルのトレーニングもやってみた。マッサージにも通っている。それなのに、少し良くなってはまた戻ってくる。そんな経験はありませんか。
はじめまして。京都市北区にあります、もり鍼灸整骨院 院長の森洋人です。柔道整復師・鍼灸師として15年間、8万人を超える患者さんの体に向き合ってきました。
結論から言うと、なかなか改善しない肩の痛みの原因は、肩そのものにはないことが多いのです。ですから、いくら肩を揉んでも、マッサージをしても、ストレッチをしても、なかなか改善しません。
今回は、野球・バレーボール・テニス・バドミントンなど、腕を頭の上まで振り上げる「オーバーヘッドスポーツ」の選手に起こる肩の痛みについて、その本当の原因と、ご自身で確認できるポイントを解説していきます。小学生から大人の方まで、スポーツを楽しんでいるすべての方に当てはまるお話です。

なぜ肩ばかりケアしても改善しないのか
「肩の症状がなかなか治らない」とご相談に来られる方の多くが、同じようなことをおっしゃいます。
- 肩のストレッチを毎日しているのに、変わらない
- インナーマッスルのトレーニングをしても、痛みが残る
- マッサージを受けた直後は楽になるが、またすぐ戻ってしまう
ここで誤解していただきたくないのは、ストレッチやマッサージが悪いわけではないということです。疲れを取り除くケアとして、これらはとても大事です。軽度の症状であれば、それだけで改善することもあると思います。
ただ、長引く症状、なかなか改善しない症状には、別の理由があります。それは、なぜそこが硬くなったのか、なぜそこにダメージが蓄積したのか、というところまでケアが届いていないケースがほとんどだからです。
想像してみてください。水がこぼれ続けている床を、一生懸命に拭いている状態です。拭いた瞬間はきれいになりますが、蛇口が開いたままなら、また濡れてしまいますよね。硬くなった肩をゆるめることは「床を拭く」ことにあたります。大切なのは、蛇口のほうを見つけることなのです。

肩の痛みの本当の原因は「肩甲骨の位置のズレ」
では、その蛇口にあたるものは何でしょうか。多くの場合、それが肩甲骨(けんこうこつ)の位置のズレ、アライメント異常です。アライメントとは「並び方」「位置関係」という意味の言葉です。
肩甲骨は、背中の上のほうにある三角形の骨です。実は腕は、この肩甲骨からぶら下がるようについていて、肩甲骨は腕にとっての「土台」の役割をしているんですね。
その土台に、たとえばこんなズレが起こります。
- 肩甲骨が下がっている(左右で高さが違う)
- 肩甲骨が前方に変位している(前に出ている、ねじれている)
土台が傾いたまま、その上で腕を何百回、何千回と振ったらどうなるでしょうか。肩まわりの筋肉には、本来かからないはずの負担がかかり続け、筋肉は硬くなり、少しずつダメージも蓄積していきます。硬くなった筋肉をほぐしても、土台が傾いたままなら、また同じところに負担がかかる。これが「ケアしているのに戻ってしまう」正体です。

青色の部分が肩甲骨です
オーバーヘッドスポーツで特に起こりやすい理由
野球の投球、バレーボールのスパイク、テニスのサーブ、バドミントンのスマッシュ。どれも、腕を頭より高く振り上げて、勢いよく振り下ろす動作です。
これらの競技に共通しているのは、体の片側だけを、何百回、何千回と繰り返し使うという点です。使う側と使わない側で体の使い方が大きく違えば、左右の差が生まれやすくなるのは自然なことなんですね。だからこそオーバーヘッドスポーツの選手ほど、肩甲骨の位置のズレが起こりやすく、それが肩の痛みにつながりやすいと考えられます。
私自身の経験と、治療の現場で気づいたこと
私自身、小学校から高校まで野球をしてきました。そしてそのなかで、肩のケガを経験しています。痛みでボールが思うように投げられないもどかしさは、身をもって知っているつもりです。
その経験があったからこそ、スポーツ選手、とくに野球選手のケガについて研究を重ねてきました。現在、当院では野球の投手をサポートし、ケアする投手育成事業を行っています。
自分自身の経験と、治療院でスポーツ選手の方を診させていただくなかで、あることに気がつきました。肩を痛めている多くの選手に、肩甲骨のゆがみ・アライメント異常があるということです。そして、そこが改善することで症状も改善していく。そういう例を、これまでいくつも経験してきました。
実際に施術を受けられた患者様からも、お声をいただいています。よろしければ当院ホームページの「患者さまの声」もご覧になってみてください。
自分でできるチェック方法
ここからは、ご自身で確認していただきたいことをお伝えします。難しい道具は必要ありません。スマートフォンが1台あれば大丈夫です。

~背中の写真を撮って確認する方法~
- 背中のラインが見える服装になります
- ご家族に頼んで、真後ろから背中の写真、または動画を撮ってもらいます
- カメラはできるだけ体の中心・水平の高さに合わせて撮ってもらいます
撮れたら、次の3つを見てみてください。
- 左右の肩甲骨の高さが違っていないか
- 痛みが出ているほうの肩が、前に出ていないか
- 肩がねじれていないか

左右の肩の高さに差がある例
※AIで作成したイメージ図です。実際の患者様の写真ではありません。
鏡では顔を向けたときに体がねじれてしまい、正確に見ることができません。写真や動画で「止めて見る」ほうが、左右の差にずっと気づきやすくなります。
※痛みが強いとき、腕が上がらないときは、無理に動かして確認しないでください。チェックはあくまで「今の状態を知る」ためのものです。確認の途中で痛みが出た場合は、そこで中止してください。
そしてもうひとつ。お子さんの場合は、ご本人ではなかなか気づけません。「痛い」と言えないまま我慢してしまうお子さんも少なくありません。ぜひご両親が、背中を見て確認してあげてください。
ズレに気づいたあと、どうすればいいか
正直にお伝えします。肩甲骨の位置のズレを、セルフケアだけで整えるのは簡単ではありません。
そのズレは肩甲骨だけで起きているわけではなく、背骨や骨盤を含めた体全体のバランスと関係していることが多いからです。ご自分では、どこがどうズレているのかを正確に把握することが難しいのです。
ですから、なかなか症状が改善せずお悩みであれば、信頼できるお近くの治療院、できれば肩を専門的に診てくれる治療院にご相談ください。
もし京都市北区周辺にお住まいの方でしたら、もり鍼灸整骨院にご相談いただくのもひとつの選択肢です。私自身の経験と、これまで多くのスポーツ選手を診させていただいた経験から、お力になれることがあると思います。
まとめ
いかがでしたか。端的に言うと、「肩が痛いからといって、原因が肩にあるとは限らない」というお話でした。
- 長引く肩の痛みは、肩甲骨の位置のズレが関係していることが多い
- ストレッチやマッサージは疲労回復には有効だが、土台のズレまでは届かない
- まずは背中の写真を撮り、肩甲骨の高さの差・前方への出方・ねじれを確認する
- お子さんの場合は、ご両親が見てあげてほしい
- セルフケアだけで整えるのは難しいため、改善しないときは専門的に診てくれる治療院へ
肩の痛みを「使いすぎだから仕方ない」とあきらめてしまう選手を、私は何人も見てきました。原因が違うところにあるのなら、見る場所を変えるだけで道が開けることがあります。
FAQ(よくあるご質問)
Q1. 肩が痛いとき、ストレッチはやめたほうがいいですか?
A1. やめる必要はありません。疲れを取り除くケアとして、ストレッチはとても大事です。ただ、それだけで長引く症状が改善しない場合は、原因が別のところにある可能性が高いとお考えください。なお、伸ばしたときに痛みが出るストレッチは中止してください。
Q2. 肩甲骨の位置のズレは、自分で治せますか?
A2. ご自分だけで整えるのは、正直なところ簡単ではありません。ズレは肩甲骨だけでなく、体全体のバランスと関係していることが多いためです。まずは写真で「ズレているかどうか」に気づくところまでをご自身で行い、そのうえで専門家にご相談いただくのが現実的だと思います。
Q3. 小学生でも肩甲骨のズレは起こりますか?
A3. 年齢に関わらず起こりえます。むしろお子さんの場合、痛みを我慢してしまったり、うまく言葉にできなかったりすることがあります。競技を続けているお子さんは、ときどきご両親が背中を見てあげてください。早く気づけるほど、対応もしやすくなります。
肩の痛みがなかなか改善しないという方は、ぜひ一度もり鍼灸整骨院までご相談ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)



