この記事の要点
* 気圧の変化を感じ取るセンサーは耳の奥にある内耳で、そこから自律神経が乱れて痛みが出る
* 同じ天気でも痛む人と痛まない人がいるのは、体のゆがみと筋肉の状態に差があるから
* 痛み止めや天気予報のチェックはその場しのぎで、根本の解決にはならない
* 天気に振り回されなくなるには、痛みが出る土台そのものを整えることが必要
* 繰り返す痛みを断ち切るには、自分では気づけないゆがみを専門家に診てもらうことが近道
目次
はじめに

台風が近づいているというニュースを見ただけで、気持ちが沈んでしまう。
まだ雨も降っていないのに、もう体のどこかが痛み始めている。
周りの人が普通に過ごしているなか、自分だけがつらさを抱えている
——そんな日々を過ごされていませんか。
はじめまして。
京都市上京区・もり鍼灸整骨院 院長の森洋人です。
台風の季節や梅雨の時期になると、
「また痛みが出てきました」とおっしゃって来院される方が一気に増えます。
天気で体が痛くなることは、決して気のせいではありません。
天気の変化に伴う不調は気象病と呼ばれ、国内の潜在患者は1000万人以上とも言われており、
特に気圧の影響は大きく、約8割の人が気圧の変化で体調を崩しているという調査結果もあります。
ただ、ここでどうしても伝えておきたいことがあります。
同じ台風、同じ気圧の変化にさらされていても、ひどく痛む人とほとんど平気な人がいるのです。
この差が、実はとても重要な意味を持っています。
このブログでは、天気で痛みが出るときに体の中で起きていること、
そして毎回痛みを繰り返してしまう人が見落としているものについて、丁寧にお伝えしていきます。
雨や台風が近づくと決まって痛みだすあの憂鬱な感覚の裏側で

雨が降る前から体が重くなる、台風が近づくと古傷がうずく。
この感覚は多くの方が経験されていますが、
そのとき体の中で何が起きているのかを知っている方は少ないと思います。
まず、気圧の変化を体はどこで感じ取っているのでしょうか。
気圧の変化を感じるセンサーがどこにあるのかという研究の結果、
見えてきたのが内耳(ないじ・耳の奥にある器官)でした。
内耳は平衡感覚をつかさどる三半規管や前庭と、聴覚をつかさどる蝸牛(かぎゅう)からなります。
気圧の変化を内耳が感じ取ると、前庭神経(ぜんていしんけい・平衡感覚の情報を脳に伝える神経)
を介してその情報が脳に伝えられ、その変化がストレスとなって
自律神経(じりつしんけい・内臓や血管の働きを自動的に調整する神経)のアンバランスを引き起こします。
天気痛とは、雨や台風が近づくと頭痛がする、めまいがする、古傷が痛むなど、
その人がもともと抱えている慢性的な不調が天気に影響されて現れたり悪化したりするものです。
特に気圧の変化が大きな引き金になり、天気痛は内耳が敏感な人に起こりやすいという特徴があります。
ここで注目していただきたいのが「もともと抱えている慢性的な不調が現れる」という点です。
つまり天気そのものが痛みを作り出しているのではなく、
すでにあなたの体の中にある問題が、天気をきっかけに表に出てきているということなのです。
自律神経が乱れると、交感神経(体を緊張状態にする神経)が過剰に働き、全身の筋肉が緊張します。
すると筋肉の中を通る血管が縮まり、血のめぐりが低下します。
慢性の痛みが自律神経、特に交感神経とリンクしていることは、
これまでの多くの研究により明らかになっています。
もともと硬くなっている筋肉、負担がかかり続けている関節、ゆがみを抱えた骨盤
——そういった部分が、気圧の変化をきっかけに一気に悲鳴を上げるのです。
気圧のせいだから仕方ないと諦めてきた人ほど見落としているもの

「気圧のせいだから、どうしようもない」
——そう考えて、痛み止めでやり過ごしてきた方は多いと思います。
しかしここに、大きな見落としがあります。
考えてみてください。
気圧の変化は、日本中の誰にでも等しく訪れます。
同じ地域に住み、同じ台風にさらされているのに、なぜあなただけがこれほど痛むのでしょうか。
この問いこそが、根本的な解決への入り口です。
答えは、痛みが出る土台の状態にあります。
当院で8万人以上の患者さんを診てきた中で、
天気のたびに痛みを訴える方には共通した特徴が見られます。
それは骨盤や背骨のゆがみ、そして特定の筋肉の慢性的な硬さです。
体がゆがんでいると、特定の筋肉や関節に日常的に偏った負担がかかり続けています。
晴れた日は、その負担がかろうじて痛みの出るラインを超えずに済んでいる。
ところが気圧が下がって自律神経が乱れ、筋肉の緊張が高まった瞬間に、
蓄積されていた負担が一気に痛みとして表れる。
天気は引き金を引いただけで、弾はすでに装填されていたのです。
ここが多くの方の見落としている点です。
痛み止めを飲むこと、天気予報をこまめにチェックすること、痛くなったら安静にすること
——これらはすべて「引き金が引かれた後の対処」でしかありません。
弾が装填された状態そのものは、何ひとつ変わっていないのです。
だから翌月も、翌年も、同じ季節に同じ痛みが繰り返される。
「毎年のことだから」と諦めておられる方こそ、
実はこの装填された状態を長年放置してきた方でもあります。
厳しい言い方かもしれませんが、これは同時に希望でもあります。
土台を変えられれば、繰り返しから抜け出せる可能性があるということですから。
天気に振り回される毎日から抜け出したいあなたへ伝えたいこと
では、装填された状態そのものを変えていくにはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、今日から取り組んでいただける具体的なことをお伝えします。

まず整えていただきたいのが、自律神経です。
気圧の変化そのものは変えられませんが、それに対する体の反応の大きさは変えられます。
最も手軽で効果的なのが、深い呼吸です。
低気圧の日は無意識に呼吸が浅くなり、それが自律神経の乱れをさらに強めます。
鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、口から8秒かけて吐き出す。
これを1日に数回、気づいたときにおこなうだけで、
交感神経の過剰な高ぶりが抑えられ、筋肉の緊張が和らぎます。

内耳の血のめぐりを良くすることも有効です。
両耳を親指と人差し指でつまみ、上・下・横にそれぞれ5秒ずつ引っ張ります。
次に耳を軽く引っ張りながら後ろ方向にゆっくり5回まわし、
最後に耳を包むように手で覆って後ろに5回まわしてください。
1日3回程度、特に天気が崩れる前におこなうと、
気圧の変化に対する内耳の過敏な反応を和らげる助けになります。

そして最も重要なのが、体のゆがみと筋肉の硬さを減らしていくことです。
日常の姿勢から見直してください。
足を組む、片側に体重をかけて立つ、いつも同じ肩にカバンをかける、横座りをする
——こうした習慣が、日々ゆがみを積み重ねています。
座るときは左右のお尻が均等に椅子に当たるよう意識し、立つときは両足に均等に体重をかける。
この小さな意識の積み重ねが、装填される弾の量を減らしていきます。

筋肉のケアとしては、腸腰筋(ちょうようきん・腰と脚のつけ根をつなぐ深部の筋肉)と
大臀筋(だいでんきん・お尻の後ろ側の大きな筋肉)のストレッチをお勧めします。
腸腰筋は椅子に座って片足を後ろに引き、
太ももの前側からお腹の奥にかけて伸ばして20〜30秒キープ。
大臀筋は椅子に座って右足首を左の太ももに乗せ、
背筋を伸ばしたまま上体を前に傾けて20〜30秒キープ。
どちらも左右2〜3セット、お風呂上がりに毎日続けてください。

入浴も欠かせません。
38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分浸かることで
副交感神経(体をリラックスさせる神経)が優位になり、
硬くなった筋肉がほぐれます。シャワーだけで済ませている方は、
この習慣を変えるだけでも天気の日の痛みが軽くなることがあります。
まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございます。
台風や気圧の変化で痛みが出るのは、あなたが弱いからでも、
我慢が足りないからでもありません。
内耳が気圧の変化を感じ取り、自律神経が乱れ、もともと体にあった問題が表に引き出されている。
それが天気痛の実態です。
そして最も大切なことをもう一度お伝えします。天気は引き金にすぎません。
本当の問題は、いつでも痛みが出せる状態にある体そのものにあります。
痛み止めでその場をしのぎ、天気予報に一喜一憂する日々を何年続けても、
この土台が変わらない限り、来年もまた同じ季節に同じ痛みが訪れます。
呼吸を整えること、耳のマッサージ、姿勢の見直し、ストレッチ、湯船に浸かること。
まずはこれらを今日から始めてみてください。
積み重ねることで、天気に対する体の反応は必ず変わっていきます。
ただし、毎回のように寝込んでしまう方、痛み止めが手放せない方、
年々症状がひどくなっている方は、セルフケアの範囲を超えています。
自分の体のどこがゆがんでいるのか、どの筋肉が硬くなっているのかを正確に把握することは、
ご自身では極めて困難です。そして把握できないものは、整えようがありません。
当院では、体のゆがみを根本から整える整体と、
硬くなった筋肉に直接働きかける鍼灸を組み合わせた治療をおこなっています。
痛みのないソフトな施術で、天気に振り回されない体づくりをお手伝いします。
当院は完全予約制で、天気が崩れる時期は特にご予約が集中し、
ご希望の日時にお取りできないこともございます。
次の台風が来る前に、今のうちにご予約をお取りください。
FAQ
Q1. 天気痛は市販の頭痛薬や痛み止めで対処してもいいですか?
A1. 一時的な対処としては問題ありません。
ただし常用は避けるべきです。
薬を飲み続けると、かえって痛みに敏感になる薬物乱用頭痛を招くことがあります。
月に10日以上薬を使っている方は、医師に相談してください。
Q2. 気圧の変化を知らせるアプリは使った方がいいですか?
A2. 使い方次第で有効です。事前に備えられる利点がありますが、
頻繁に確認しすぎると「また痛くなる」という不安が痛みを増幅させることがあります。
予定を調整する目的で1日1回程度の確認にとどめるのがよいでしょう。
Q3. 天気痛は子どもにも起こりますか?
A3. はい、起こります。
むしろ子どもの方が内耳(耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官)が敏感で、
天気の変化に反応しやすい傾向があります。
低気圧の日に頭痛や倦怠感、不機嫌さが出る場合は天気痛の可能性を考えてあげてください。
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)



