階段を上り下りすると膝が痛くなるのが怖いという高齢者の方へ

1: はじめに

階段の上り下りで膝が痛くなる、そんなお悩みをお持ちの方は多いと思います。

階段を上るたびにズキッとする」「下りる時が特に怖い」「階段のある場所に行くのを避けてしまう」など、

日常生活に大きな影響を及ぼしている方も少なくありません。

 

当院にも、同じような症状でお悩みの方々が多く来院されます。

特に歳を重ねるほど、症状が悪化していく方が多くいらっしゃいます。

また、そういった方の中でも気になるのは、階段があるところに行くのが怖くなった」「外出が億劫になってきたという

お声です。

階段での膝の痛みは、単なる痛みの問題だけではなく、行動範囲を狭めてしまい、生活の質全体に影響を与えかねません。

 

また、年だから仕方ないと諦めていらっしゃる方も多いのですが、実はそうではありません。

階段での膝の痛みには、適切な対策を取ることで、十分に改善が可能なのです

年齢に関係なく、正しい知識と方法があれば、怖さを感じることなく階段を使えるようになります。

 

実際に、当院に来られる患者さんの中には、適切なケアと運動を続けることで、階段の上り下りが楽になったという方が

数多くいらっしゃいます。

例えば、80代の女性の方は、「正しい上り方を教えてもらってから、孫に会いに行くのが楽しみになった」

とおっしゃっていました。

 

このブログでは、なぜ階段で膝に負担がかかるのか、どうすれば痛みを和らげることができるのか、

そして具体的な予防法まで、詳しくお話ししていきます。

ご自身の体に合った方法を見つけ、より活動的な生活を送るためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

 

2: 階段の上り下りで膝に負担がかかる理由

階段の上り下りで膝に負担がかかる理由を理解することは、効果的な対策を立てる上で重要です。

実は、通常の平地歩行と比べて、階段の上り下りでは膝に2倍以上の負担がかかっているのです。

 

まず、階段を上る時について見てみましょう。

上る動作では、体重を持ち上げるために大きな力が必要となります。

特に、膝を曲げた状態から足を持ち上げる際に、膝の前面にある大腿四頭筋大きな負担がかかります

この時、膝のお皿膝蓋骨裏側に強い圧力が加わりそこに痛みを感じやすくなります

 

一方、階段を下りる時は、さらに大きな負担がかかります

下る動作では、体重と重力による衝撃を受け止めながら、膝を安定させる必要があります。

特に膝を曲げながら体重を支える際に、関節内の軟骨半月板強い圧力がかかります。

そのため、多くの方が下りの方が痛みを感じやすいと言われています。

 

加齢に伴う体の変化も、階段での負担を増加させる要因となります。

年を重ねるにつれて、関節を支える筋力が低下し、軟骨がすり減りやすくなります。

また、膝関節を安定させる靭帯の弾力性も減少するため、関節の動きがスムーズではなくなってきます。

 

さらに、膝の痛みを恐れるあまり、必要以上に慎重になりすぎることで、かえって負担が増えてしまうことも。

例えば、体が固くなり過ぎて膝を十分に曲げられないバランスを取るのが難しくなるといった状況が生まれ、

それがまた新たな不安を生む、という悪循環に陥りやすいのです。

 

3: 階段の上り下りが楽になる体の使い方

階段の上り下りを楽に行うためには、正しい体の使い方を知ることが大切です。

ここでは、実際に患者さんに指導している安全で負担の少ない方法をご紹介します。

これらの方法は、すぐに実践できる基本的なものばかりです。

 

まず、階段を上る時のポイントをお話しします。

最も重要なのは、手すりを積極的に使うことです。

「手すりに頼るのは恥ずかしい」と感じる方もいらっしゃいますが、手すり安全のために設置されているものです。

手すりを使うことで、膝にかかる負担を約3割も軽減できます。

 

また、上る時は、一段ずつ確実に足を置くようにしましょう。

足の裏全体をしっかりと段に乗せることで、安定性が増し、膝への負担が分散されます

この時、つま先が外を向き過ぎないよう、やや内側に向けるのがコツです

 

階段を下りる時は、さらに慎重さが必要です

やはり手すりを使い、一段ずつゆっくりと降りていきます。

特に重要なのは、降りる時の膝の使い方です。

膝を完全に伸ばしきらず、わずかに曲げた状態を保つことで、衝撃を和らげることができます。

 

姿勢も重要なポイントです

上り下りともに、上半身が前かがみになりすぎないよう注意しましょう

背筋をある程度伸ばし、やや前を見る姿勢を保つことで、バランスが取りやすくなります。

また、急いで上り下りすると、思わぬ負担がかかるため、ゆっくりと行動することを心がけましょう。

 

寒い季節は特に注意が必要です。

関節が冷えていると、より痛みを感じやすくなります

外出時は膝を温かく保つ工夫をし、可能であれば階段の使用前に軽く膝を動かしてほぐすことをお勧めします。

 

これらの方法は、最初は少し時間がかかるかもしれません。

しかし、焦らず、できることから少しずつ実践していくことが大切です

安全な方法を身につけることで、階段への不安は徐々に軽減されていきます。

 

4: 膝の痛みを予防するための簡単なトレーニング

膝の痛みを予防するためには適度な運動筋力を維持することが大切です。

ここでは、ご自宅で安全に行える簡単なトレーニングをご紹介します。

これらの運動は、私たちの治療院でも多くの患者さんに実践していただき、効果を実感されている方法です。

 

最初にご紹介するのは、椅子に座ったままできる運動です。

椅子に深く腰かけ、片方の足をゆっくりと水平に上げ、そのまま5秒間キープします。

これを各足5回ずつ行います。

この運動は、太もも前面の筋肉大腿四頭筋)を強化し、膝の安定性を高めるのに効果的です。

痛みを感じない範囲で、徐々に回数を増やしていきましょう。

 

次に、立ち上がりの動作を利用した運動です。

背もたれのある安定した椅子を使い、ゆっくりと立ち上がって、またゆっくりと座ります。

この時、膝が内側に入らないよう注意しましょう

可能であれば手を使わずに行うことでより効果的です。

ただし、無理は禁物です。

必要に応じて、手すりや机を使って安全に行ってください

 

また、足首の柔軟性を保つことも重要です。

椅子に座って足首を前後に動かす運動を、朝晩各10回程度行います

足首が柔軟になることで、階段での踏み込みがスムーズになり、膝への負担が軽減されます。

 

就寝前には、軽いストレッチがお勧めです

仰向けに寝て、膝を曲げ伸ばしする運動や、足を上げて足首を回す運動を行います。

この時、決して無理な力を入れず、心地よい範囲で行うことが大切です。

 

これらの運動を行う際の注意点として、以下のようなことがあります。

まず、運動前には軽く体を温めることが大切です。

特に寒い時期は、入浴後や室温が温かい時間帯に行うと良いでしょう

また、急な痛みを感じたら、すぐに運動を中止してください

 

継続は力なりと言いますが、これらの運動も毎日少しずつ行うことが重要です。

「今日は調子が良いから」と欲張って行い過ぎたり、「昨日できなかったから」と諦めたりせず、

その日の体調に合わせて無理のない範囲で続けることが、長期的な改善につながります

 

5: まとめ

階段での膝の痛みは、多くの高齢者の方々の日常生活に影響を与える深刻な問題です。

しかし、ここまでお話ししてきたように、正しい知識と適切な対策があれば、必ず改善への道は開けます。

 

特に重要なのは、過度に怖がることなく、安全な方法で階段を使い続けることです。

手すりをしっかり使う一段ずつ確実に昇り降りする姿勢を意識するなど、基本的な動作を丁寧に行うことで、

膝への負担は大きく軽減されます

そして、無理のない範囲で続ける運動習慣が、膝の健康を維持する鍵となります。

 

ただし、以下のような症状がある場合は、早めに専門家への相談をお勧めします

 

・膝の痛みが急に強くなった

・膝がガクッとなる感覚がある

・長時間の痛みが続く

・膝が腫れている

・夜間に痛みで目が覚める

 

当院では、このような症状でお悩みの方々のご相談を随時承っております。

患者さん一人一人の生活環境や体の状態を丁寧に診させていただき、その方に合った改善プランをご提案いたします。

 

年齢を重ねることで体に様々な変化が訪れるのは自然なことですが、それは活動的な生活を諦める理由にはなりません。

適切なケアと予防を心がけることで、いくつになっても快適に階段を使い続けることができるのです。

 

ご自身のペースで、できることから少しずつ始めてみませんか?

不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

ご予約はこちらから

(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)

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