はじめに
「また今日も、歩くたびに股関節が痛む…」そんな言葉を、患者さんから何度も聞いてきました。
股関節の痛みというのは、本当につらいものですよね。
歩くという、ごく当たり前の動作のたびに痛みが走る。
その感覚は、想像以上に心をすり減らします。
「このまま歩けなくなってしまうのでは」「旅行も、買い物も、もう楽しめないのでは」と、不安を抱えながら毎日を過ごされている方も多いのではないでしょうか。
このブログでは、歩くたびに股関節が痛む方に向けて、その原因がどこにあるのか、そして日常生活を少しでも楽にするために今日から取り組んでいただける体の整え方をお伝えします。
病院で「加齢のせい」「軟骨がすり減っているから仕方ない」と言われてあきらめていた方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
痛みには必ず原因があります。
その原因を正しく理解することが、改善への第一歩です。
歩くたびに股関節が痛む見落とされがちな原因とは

股関節の痛みと聞くと、多くの方が、軟骨のすり減りや骨の変形を思い浮かべるのではないでしょうか。
たしかに病院でそのような診断を受ける方は少なくありません。
しかし、ここで大切なことをお伝えしなければなりません。
軟骨には神経が通っていないため、軟骨そのものは痛みを感じません。
日本整形外科学会の診療ガイドラインにおいても、骨の変形があっても痛みが改善されるケースがあることが示されています。
では、何が痛みの原因なのか。
当院で8万人以上の患者さんを診てきた経験からはっきりお伝えできます。
多くの場合、股関節の痛みの直接的な原因は「筋肉の硬さと疲弊」にあります。
股関節は、腸腰筋(腸骨筋と大腰筋からなる、骨盤と太ももをつなぐ深部の筋肉)、中臀筋(お尻の外側にある筋肉)、大臀筋(お尻の後ろ側の大きな筋肉)など、複数の筋肉によってしっかりと支えられています。
これらの筋肉が何らかの理由で硬くなったり、うまく働けなくなったりすると、関節に過剰な負担がかかり、歩くたびに痛みが生じるのです。
さらに、見落とされがちな原因として「体のゆがみ」があります。
骨盤や背骨にねじれや傾きがあると、股関節を支える特定の筋肉にだけ偏った負担がかかり続けます。
日常的に足を組む、片方の肩にだけカバンをかける、横座りや斜めに体重をかけて立つ習慣がある方は、気づかないうちに体のバランスを崩している可能性があります。
「特に思い当たる原因がない」という方こそ、こうした体の使い方のクセや、体のゆがみが関わっているケースが非常に多いです。
痛みをかばう歩き方が膝や腰にまで広がってしまうリスク

股関節が痛くなると、人間は自然と痛みをかばうように体を動かすようになります。
痛い側に体重をかけないよう、少し体を傾けて歩く。
足をかばうように小さな歩幅でそっと歩く。
こうした歩き方は、痛みを和らげようとする体の本能的な反応であり、ある意味では自然なことです。
しかし、痛いほうの足をかばう歩き方が長く続くことで、深刻な問題が連鎖的に広がっていきます。
まず、かばう歩き方ではひざの関節に本来とは異なる方向から力がかかり続けます。
太ももの骨とすねの骨の間にある半月板(ひざのクッションとなる軟骨)に偏った負荷がかかり、膝の痛みが引き起こされるケースは非常に多く見られます。
実際、当院にお越しになる患者さんの中にも「股関節の痛みがある時期から、膝まで痛くなってきた」と訴える方が少なくありません。
腰への影響も見逃せません。
股関節をかばう歩き方では、腰椎(腰の背骨)や仙腸関節(骨盤の後ろ側にある関節)に余分なストレスがかかります。
2019年の研究(European Spine Journal)でも、股関節の機能低下と腰痛の関連性が指摘されており、股関節と腰の問題が連動して悪化するいわゆる腰椎股関節リズムの破綻は、治療の現場でも重要視されています。
さらに、痛みをかばい続けることで筋肉のバランスが崩れ、体のゆがみはどんどん強くなります。
放置すれば放置するほど、より多くの部位に負担が蓄積されていく。
そのことをぜひ知っておいていただきたいのです。
股関節だけの問題だからと思って様子を見ていると、いつの間にか体全体に影響が広がってしまうことがあります。
痛みはできるだけ早期に、正しいアプローチで対処することが、体全体を守ることにつながります。
日常生活を楽にするために股関節まわりの筋肉をほぐす方法

では、実際に日常生活の中で股関節まわりをほぐし、痛みを和らげるためにできることをお伝えします。
ただし、ひとつだけ先にお伝えしておきたいことがあります。
痛いからと無理に開脚ストレッチをしたり、強く押したりすることは逆効果になる場合があります。
すでに硬くなって疲弊している筋肉に強い刺激を与えると、筋肉はさらに防御のために緊張を強めてしまいます。
あくまでも気持ちよいと感じる範囲でおこなうことが大切です。
まずおすすめしたいのが、腸腰筋(腸骨筋と大腰筋からなる、骨盤と太ももをつなぐ深部の筋肉)のゆるめ方です。
椅子に浅めに腰掛け、背筋を軽く伸ばした状態で、片方の足を後ろにゆっくりと引きます。
太ももの付け根の前側が軽く伸びる感覚があればOKです。
反動をつけず、ゆっくりと20〜30秒間維持してください。
左右それぞれ2〜3セットを目安におこなうと、長時間の座り仕事で縮んだ腸腰筋を少しずつほぐすことができます。
次に、中臀筋(お尻の外側にある筋肉)を意識した動きです。
横向きに寝て、下側の膝を軽く曲げた状態で安定させます。
上側の足を、つま先を少し下に向けながらゆっくりと持ち上げ、2〜3秒キープしてからゆっくり下ろします。
これを10回繰り返します。
中臀筋は歩行時に骨盤を水平に保つ重要な筋肉であり、ここが弱くなると体が左右に揺れるトレンデレンブルグ歩行と呼ばれる不安定な歩き方になり、股関節への負担がさらに増してしまいます。
また、日常的に取り組んでいただきたいのが、歩き方の意識です。
痛みをかばって小さく歩く習慣がついてしまっている方は、かかとから着地し、足の指の付け根でしっかり地面を蹴り出すことを意識してみてください。
歩幅は無理に広げなくて構いません。
ただ、左右均等に体重をかけることを心がけるだけでも、股関節にかかる偏りが変わってきます。
日常生活の動作の中では、床から立ち上がる時・椅子から立つ時に、お尻の筋肉をしっかり使うことを意識してください。
膝だけで立とうとすると股関節への負担が増します。
お尻に力を入れてから立ち上がるクセをつけるだけで、日々の積み重ねが体を変えていきます。
セルフケアは継続することに意味があります。
毎日少しずつでも、体に向き合う時間を作ってみてください。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
歩くたびに股関節が痛むという状態は、決して年齢のせいでも仕方がないことでもありません。
原因のほとんどは、筋肉の硬さや体のゆがみにあり、正しいアプローチによって改善できる可能性が十分にあります。
今日ご紹介したセルフケアを毎日の習慣に取り入れていただくことで、日常生活の中での痛みや不快感が少しずつ和らいでいくはずです。
しかし、セルフケアだけでは限界があることも事実です。
体のゆがみは自分ではなかなか気づけませんし、筋肉の硬さがどこに、どの程度あるのかを正確に把握するには、専門家による診察が必要です。
なかなか改善しない、どんどん痛みがひどくなっている、膝や腰にまで痛みが広がってきたという方は、ぜひ早めにご相談ください。
当院では、体のゆがみを根本から整える整体と、硬くなった筋肉に直接アプローチする鍼灸を組み合わせた治療をおこなっています。
痛みを感じるような施術は一切なく、丁寧な治療をさせて頂いています。
初回から変わったと感じていただける方も多く、治療を続けるごとに歩くことが楽になっていくのを実感していただけます。
ただし、当院は完全予約制で、多くの方にお越しいただいているため、ご希望の日時にご予約が取れない場合もございます。
もっと早く来ればよかったと後悔をされないよう、まだ痛みが軽いうちに、どうか早めにご予約をお取りください。
あなたの股関節の痛みを、一緒に改善していきましょう。
ご予約はこちら
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)



