脊柱管狭窄症による痛みを手術をしないで治す方法。

こんにちは!
京都市北区 北野白梅町 円町 もり鍼灸整骨院の森です。

当院には腰痛の患者さんが多くいらっしゃいます。
腰痛といってもその原因は様々です。単なる疲労や使い痛みによる腰痛もあれば、骨の異常を伴なった腰痛にお悩みの方もいます。

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とりわけ60歳以上の患者さんになると「脊柱管狭窄症」と病院で診断された患者さんが多くなってきます。
これは当院に限ったことではなく、年齢的な問題ということが一番の要因でしょう。

脊柱管狭窄症とは?

「脊柱管(せきちゅうかん)」とは、背骨の後ろの神経の通り道です。
加齢により背骨が変形してくると少しずつ神経の通り道が狭くなることがあります。
神経の通り道がずいぶんと狭くなり神経が圧迫され始めると、種々の症状が出始め、そう診断されることがあります。

ではどのような症状が出ると脊柱管狭窄症と診断されるのか?
その症状の特徴は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といって「しばらく歩いていると足がしびれる、もしくは痛くなってきて歩けなくなる」というものがあります。

これは歩くことで神経が刺激されるために起こります。
腰を起こした状態や腰を反る状態だと神経の圧迫がきつくなるので、座ったり、前かがみになったりして休むと症状が楽になります。

症状の特徴の一つに「自転車ならいくらでも大丈夫」というものもあります。
これは自転車では腰が反ることがないので神経が圧迫されないからです。

脊柱管狭窄症は、加齢による骨の変形が原因ですので「根本的に治すには手術しかない」と医師に告げられるケースが多いようです。

当院には「ひどくなるようなら手術しかないと医師に言われたけど、なんとか他に方法はないか?」と治療に来られる方もいます。

脊柱管狭窄症の方が治療に来られた際、「私の場合手術は必要なんでしょうか?」と聞かれることがよくあります。

私は医師ではないので「必要・不必要」ということは判断できません。
しかし、手術をせずに良くなった方もたくさん診てきました。

手術の基準や、それをおこなったらどうなるか?
このようなことは世界中の腰痛に関する研究や、世界各国の「腰痛ガイドライン」で知ることができます。

一般の方は研究発表やデータをみてもそれがどういうことなのかなかなか理解しがたいでしょう。
そこで今回は様々な研究やデータをみながら、脊柱管狭窄症にたいする手術を考え、手術以外でできることをご紹介します。

脊柱管狭窄症の手術

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手術の考え方としては「狭くなった神経の通り道を確保する」というものです。

その為には骨を削ったり靭帯を切除したりします。
この術式を「減圧椎弓切除(げんあつついきゅうせつじょ)」といいます。

この方法で改善がいまいちだったり、すぐに再発する場合は「脊椎固定術」がおこなわれます。
脊柱管狭窄症になる大元の要因に「腰椎すべり症」があると、この脊椎固定術がおこなわれることが多いようです。
脊椎固定術は、金属のねじを背骨に埋め込んだりするので、減圧椎弓切除よりも大掛かりになります。

脊柱管狭窄症の手術の効果は?

まずはこちらをご覧ください。

「脊柱管狭窄症への減圧椎弓切除術に関する論文74件を厳密に検討した結果、優または良と評価できたのは平均64%だったが、論文によっては26%~100%もの開きがあり、研究デザインにも不備が多いためその有効性は証明できない。http://1.usa.gov/qO1nB3」

これは減圧椎弓切除の手術の成績を検討したものですが、64%は手術をしてよかったとしています。
逆に考えると36%は手術をする効果がなかったということです。

こちらの2つの研究は脊椎固定術のものです。

「脊椎固定術を受けた労災患者185名を対象とした後ろ向きコホート研究によると、41%がQOLに変化がないか悪化した。再手術率は24%、長期活動障害率は25%、癒合率は74%。転帰不良の予測因子は心理・社会・経済的因子。http://1.usa.gov/o59zzE」

「脊椎固定術を受けた労災患者1,950名を対象とした後ろ向きコホート研究によると、術後2年後の活動障害は63.9%、再手術率は22%、合併症は11.8%に認められた。長期活動障害の予測因子は心理社会的因子であることが判明。http://1.usa.gov/puf71g」

上は「41%が手術の効果がなかった」「24%が再手術に至った」としています。
下は「手術をして2年後には約64%に活動障害を認めた」としています。

まとめると、
論文により差はあるものの、およそ40%の人は手術を受けても効果がなく、20%以上の方が再手術を必要とする。

ということです。
ちなみにここでは紹介していませんが、手術後6年経つと、手術を受けていなくても受けていても同じ状態になるという研究もあります。

この事実をどう捉えるかは人によると思います。

例えば本当に辛くて60%の改善率があればそれでも手術を受けたいという方もいるでしょうし、再手術になってもいいから少しでも早く今の辛さから脱却したいという方もいるでしょう。
6年後の症状は手術してもしなくても同じであれば、今の痛みを我慢したり、それ以外の方法で改善しようと試みてみる方もいらっしゃるでしょう。

脊柱管狭窄症で手術が必要な方

手術が決して無意味なわけではありません。術後1年間の効果は80%以上とも言われています。

ですので日常生活がままならなほどの痛みを抱えている方、痛みのために歩くことができない方は手術を検討すべきです。
膀胱直腸障害といって排泄ができなくなる症状がでる方もまれにいます。
そうなれば緊急の手術になることもあります。

どちらにしても脊柱管の手術が本当に必要な方というのは、脊柱管狭窄症全体の数パーセントの人だけです。
本当に手術が必要な状態かどうか、まずは主治医の先生としっかり話し合ってください。

セカンドオピニオンという選択肢

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場合によってはセカンドオピニオンを受けることも有効です。

セカンドオピニオンを受けるとまったく別の見解の病院もあります。

当院に来られた患者さんの中にも、ある病院では手術をすすめられたが、セカンドオピニオンで訪れた病院では必要ないといわれたケースもあります。
医師によっても見解が全く違ってくるほど脊柱管狭窄症の治療は、あいまいなものというのが現状のようです。

手術の前に出来ることを

手術が必要といわれても、ほとんどの場合すぐに手術が行われることはありません。
多くの場合まずは3か月以上保存療法といって、手術ではない治療方法を試みます。

この保存療法で症状が改善すれば、当然手術の必要はありません。
保存療法では電気療法や温熱療法、運動療法などがおこなわれます。

特に運動療法は正しく行えば大変効果的なものです。
しかしながら間違った方法で施術すると症状が悪化することも考えられます。

そこで少しでも参考にしてもらえるように保存療法のコツを簡単にご説明させていただきますね。

手術をしないためには「股関節」を柔らかく!

これは一般の腰痛患者さんにも言えることですが、症状改善には股関節の柔軟性がとても大切です。
構造学的に、腰と股関節は連動して動きます。
日常生活の動作で「腰だけ」「股関節だけ」で動くことはありません。ほとんどの場合、腰と股関節はセットで動いています。

ですのでもしも股関節が硬くなってしまうと相対的に腰の負担が増えてしまいます。

例えば「腰を反る」という動作は「腰椎の伸展」と「股関節の伸展」というそれぞれの関節がしっかりと伸びなければなりません。

もしも股関節の伸展が硬くなれば腰ばかりで伸びようとしてしまい、神経に過剰な負担がかかるのです。これは狭窄症の方に最も多い硬さのパターンです。

上の写真の患者さんも、初診時は腰を反ることができませんでしたが、数回の治療で腰を反ることができるようになりました。

これは股関節の柔軟性がよくなったからです。可動域の拡大に伴い歩くことも楽になっていきました。
このように股関節の柔軟性というのは脊柱管狭窄症でお悩みの方にとった最も大切な治療ポイントとなります。

当院でおこなっている治療について詳しくはこちらでもご紹介させていただいております。ぜひこちらの方もご覧になってください。
【当院でおこなう脊柱管狭窄症の治療について】

60代以上で腰痛にお悩みの方は脊柱管狭窄症と診断されることがあります。

突然そのように診断されて「どうしたらよいのかわからい」と不安に思われている方も少なくないでしょう。

医師からは場合によっては手術といわれることもあるかと思いますが、すぐに手術になるというケースはほとんどないので安心してください。

手術をしない保存療法でも良くなる患者さんもたくさんいるのでまずは手術はしない治療法や運動療法を取り入れてみましょう。

ただ、病院での治療だけではよくならないというケースも少なくありません。

そのような場合は民間でも効果的な治療をおこなえる治療院もあります。当院でもこのような症状にお悩みの方は多くご来院されていますのでお困りの際はお気軽にご相談ください。

あなたにとって最適な解決策を一緒に考えていきましょう。

 

ご質問やお問い合わせはLINEでも承っております。

 

お悩みの方はぜひご相談ください。

(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)

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