筋トレをしても腰痛が治らない理由

こんにちは!
京都北区 もり鍼灸整骨院の森です。

今日は、腰痛とトレーニングのお話しをさせていただきます。

昨今、テレビや著書などで腰痛改善のためのトレーニングや、体操などがたくさん紹介されています。
その影響からか、多くの方がトレーニングに興味をもち、当院でも腰の痛みを改善するためのトレーニングについてのご相談をいただく機会が増えてきました。

その中でも「筋トレで腰の痛みは治りますか?」という相談は多いです。

結論から言うと、トレーニングに痛みを治す力まではありません。
もしも筋トレで痛みが治るのであれば、筋肉隆々なボディービルダーや、スポーツ選手には腰の痛みがないという理屈になってしまいます。

実際に筋トレで腰が治ったという人

このお話しをすると必ず「私は筋トレで腰が治った」という方が現れます。
その人が筋トレを始めたタイミングで、腰が治るというのは嘘ではないはずです。

ただ、それが本当に筋肉がついたから治ったのかどうか、ということは証明することはできません。
もしかすると筋トレ以外の何かでも(ストレッチや体操)血流がよくなって治ったかもしれませんし、ストレス発散になり自律神経が整い腰がよくなったのかもしれません。
もしかすると時間(自己治癒力)が腰を治してくれたのかもしれません。

「どっちみち腰がよくなるなら筋トレしたらいいんじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。

確かにその通りなんですが、私がわざわざブログで注意を促しているのには理由があります。

それは、筋トレをすることで腰の痛みが悪化する人がいるからです。

筋トレで腰の痛みが悪化する理由

実は、腰の症状や、筋トレの方法によっては筋トレがかえって腰の痛みを悪化させることもあります。
その理由をご紹介します。

姿勢を崩す

例えば腹筋運動はやりすぎると姿勢を崩す恐れがあります。
腰の痛みには腹筋と考えている方も多いでしょうが、腹筋は体の前に着く筋肉なので、筋肉がついてくると身体が前かがみになります。
ボクサーが猫背なのはそのためです。猫背になると痛みが悪化する恐れがるので、腹筋をおこなう際は体のバランスを崩さないように筋トレメニューを考えたり、ストレッチを織り交ぜなければなりません。

筋肉の緊張がとれない

腰の痛みにお悩みの方というのは、そもそも身体の力を抜くのが苦手です。
要は体力が入りやすい人なので、筋トレをおこなうことでさらに筋肉が緊張し、腰の痛みを悪化させる可能性があります。
体の緊張が入りやすい人は、体の緊張をとるケアを優先させることが改善の第一歩です。

筋トレをしないと不安になる

筋トレをして腰の痛みがとれたとしても、今度は「筋トレをしなければまた痛くなるんじゃないか」という不安に襲われるようになります。
先ほどもご紹介したように、筋トレをしたから腰が治ったとは言い切れません。

筋トレをしないと不安になるような方は、体が疲れていても筋トレをしますし、本来なら休養を入れた方が筋肉のためになっても体を動かそうとします。
そうしているうちに、筋肉の緊張が取れにくくなって、腰の痛みを再発しますし、次第により治りにくい痛みになります。

このように筋トレには腰の痛みを悪化させる恐れもあります。
筋トレをおこなう際は、トレーニングや体の専門家に指導していただくか、無理にはおこなわないことをお勧めします。

とはいうものの、筋肉を使わないせいで腰の痛みになる方がいるのも事実です。
私はきついトレーニングはあまりおススメしていませんが、簡単にできる体幹トレーニングはおこなってもよいと考えています。
そこで腰の痛みを改善する体幹トレーニングについても触れたいと思います。

体幹とは?

体幹(体幹筋)とは腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群などを総称した言葉です。いわゆる胴体と考えてもらって結構です。

体幹筋の働きは主に、

体を支える(姿勢を保っている)
②手足を動かす土台になる(体幹を安定させることで手足を動きやすくする)

というものがあります。少し詳しく解説させていただきますね。

①体を支える

これは、立っているとき座っているとき、もしくは動作においてその姿勢を支えて動作の中でのバランスをとるという働きです。
体幹筋が弱くなってしまうと姿勢が崩れて特定の筋肉に負担がかかる可能性があります。これが腰の筋肉であれば腰痛になるということです。

②手足を動かす土台になる

手足の土台となる体幹筋の働きが悪いと(不安定でグラグラしている状態)、腕や足を動かしたときにうまく力が入らなかったり、思い通りの動きができなかったりします。

例えば砂場の上で運動すると(土台が不安定な状態で)、うまく体を動かせないのと同じことです。
体幹が安定することで手足を効率よく動かすことができ、運動のパフォーマンスも向上します。

このように体幹筋は、姿勢や体の動きにとってとっても大切。

体幹筋が弱くなってしまうと姿勢が悪くなったり、体の動きが悪くなったりして腰痛などの原因にもなるので体幹筋が弱い方は、体幹筋のトレーニングをおこなうのもよいでしょう。

簡単なトレーニング

腰を改善するための体幹トレーニングは、本当に簡単なもので構いません。
私は治療と合わせて次のようなトレーニングを指導しています。

腹式呼吸


写真のようにいすに腰かけます。
腹式呼吸の場合は息を吐きながらお腹をへこませて、息を吸う時にお腹を膨らませます。
10秒ほどお腹をへこました状態をキープしてください。息はとめないように口をすぼめてゆっくりと息を吐き出し、ゆっくり大きく吸い込みます。
これを10回ほど繰り返すと少しお腹まわりが疲れてくるのがわかると思います。
このエクササイズをおこなうことで腹横筋や多裂筋といった骨盤を安定させる筋肉が働き、腰の痛みの改善に役立ちます。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋群は骨盤を安定させるためにとても大切な筋肉です。この筋肉は写真の手のようにハンモック状になって骨盤を下から支えるようにできています。


写真のように座り、おならを止めるようにお尻の穴を閉めます。
イメージとしてはを骨盤の中にキュ~と引き込むように軽く力を入れます。
骨盤底筋を骨盤の中に引き込む感じがつかめてきたら、キュパキュパとしめるゆるめるを5回ほど繰り返し、そのあとキュ~と10秒ほどしめます。
これを3セットほど繰り返すと良いでしょう。まずは1日3回を目安に行いましょう。
写真のようにタオルを丸めてお尻の下に引くと、さらに骨盤底筋群が刺激されるので効果的ます。
骨盤底筋群も鍛えられると、骨盤が安定して腰の痛みを改善する役に立ちます。

改善には適度な刺激も必要

「筋肉は柔らかいほうが良い」と思われている方も多いでしょう。
確かにその通りなのですが、ただ単に筋肉は柔らかければ良いというものではありません。
というのも筋肉はある一定の刺激がある方が働きやすいからです。

例えば急性(ぎっくり腰)の場合、筋肉を緩める治療をおこなうと、より腰の痛みがひどくなることもあります。
私も何度かきついぎっくり腰の経験がありますが、実験的に筋肉を緩めるような治療をおこなうことで、施術のベットから起き上がれなくなったことがあります。

実はぎっくり腰の際に、体の防御反応で無意識に筋肉を緊張させることもあります。

一時的に筋肉を固くすることで、いわゆる「コルセット」をしたときと同じように「腰が安定した」状態になるのです。これは体の正常な防御反応で、悪いことではありません。
この筋肉の「正しい緊張」まで取り除いてしまうと、体を支えることができず、起き上がれないような状況に陥るのです。
つまり人の体(筋肉)には適度な刺激を与え、少しの緊張が必要な場合もあります。
体幹筋が弱い方は、適度な刺激を筋肉に与えることで筋肉が働きやすくなり、腰痛を改善したり予防したりすることができます。

このような腰痛持ちは注意

簡単な体幹トレーニングで刺激を与えるのは良いことですが、先ほどから申している通り、筋肉が緊張しやすい人は注意が必要です。
特に以下のようなことに当てはまる方は注意してください。

・今もたくさんトレーニングしているが腰の痛みが治らない
・運動しないと痛みが悪化するのではないかと不安
・運動をするとかえって痛みがひどくなる
・普段から「体に力が入っている」「力を抜いてください」などの指摘を受けることがある
・歯ぎしりや食いしばりの癖がある

このような方は、普段から体に過度な緊張がかかっている可能性があり、運動をおこなうよりも、むしろ休息を十分にとって体をリラックスさせることが大切です。
心当たりのある方は腰痛が改善されてから運動をおこないましょう。

いかがだったでしょうか。
腰の痛みでお悩みの方にとってトレーニングは改善法の一つでもあります。
ただトレーニングは痛みを治すものではなく、予防するものだという認識を持って無理のないようにしてください。

当院では腰痛に対する正しい運動も指導しております。
治療と合わせて、正しい運動やトレーニングをおこなうと長年の腰の痛みでも良くなる可能性は十分にあります。
腰痛でお悩みの方はぜひ一度当院にご相談くださいませ。

ご質問やお問い合わせはLINEでも承っております。

 

お悩みの方はぜひご相談ください。

(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)

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