こんにちは!
京都市北区もり鍼灸整骨院の森です。
今回は野球肩や野球肘の痛みについて、そのメカニズムや原因について解説したいと思います。
実は私も高校時代、野球肩に悩みました。
しかし当時はピッチングについて深く考えることはなく「感覚」で投げていました。
考えることは面倒なことかもしれませんが、考えるとイメージが変わりイメージは体を変えます。
ですので、ピッチングについて深く考えたことのない方はこれを機会に「投球動作」について考えていただけたらと思います。
目次
投球動作(ピッチング)とは?
投球動作とは「下肢のエネルギーが体幹から投球側上肢へ伝えられ最後にボールに力を伝へる運動」だと私は考えています。
下肢から体幹、体幹から上肢へとタイミングよくスムーズに力が伝わると効率よく投球ができるということです。
しかしどこかでタイミングが崩れたり、スムーズな力の伝達ができない何かがあると、パフォーマンスは低下したり、野球肘や野球肩の原因になったりします。
投球動作は5層に分けられる
投球動作は
①ワインドアップ
②早期コッキング
③後期コッキング
④加速期
⑤フォロースルー
の5層に分かれます。ワインドアップは個人差があるので除いて考えると、投球動作はわずか1.6~2.0秒です。
野球肩や野球肘が多発するのは後期コッキングと加速期
後期コッキングと加速期は最も障害が生じやすい投球層といわれ、野球肩や野球肘発生の70%以上をしめるといわれています。
後期コッキングでは、肩関節が最もねじれることで(最大外転外旋)筋肉や関節に負担がかかり、加速期のボールリリースでは腕が肩関節から離れないように筋肉に大きなストレスが発生します。
なぜ野球肩、野球肘が起こるのか?
投球動作とは「下肢のエネルギーが体幹から投球側上肢へ伝えられ最後にボールに力を伝へる運動」であり下肢から体幹、体幹から上肢へとタイミングよくスムーズに力が伝わると効率よく投球ができる。しかしどこかでタイミングが崩れたり、スムーズな力の伝達ができない何かがあるとパフォーマンスは低下する。
と紹介しました。例えていうと体幹の開きが早い(タイミングが早い)と上肢は遅れます。(タイミングの遅れ)
すると上肢が遅れるのを代償するために「肘下がり」や「肘の突き出し」「内旋投げ」などの上肢のどこかで代償が起きます。
つまりどこかがどこかをかばうようにして、オーバーストレスになると野球肩や野球肘が発生するということです。
「体を開くな!」「肘を上げろ!」は意識して出来るのか?
投手を経験された方なら必ず聞いたことがあるでしょう。多くの投手がこのような指導を受けたことがあるかと思います。
私も経験しましたが「肘をあげろ!」といわれてもなかなかうまくできませんでした。
それもそのはず。投球動作はわずか2秒ほど。その中での意識は簡単ではありません。
わずか2秒の間に「開きを抑えて肘を上げて…」なんて考えられません。しかも投球障害の発生しやすい投球層である「加速期」の時間は0.3秒ほど。意識ひとつでどうにかするなんてもはや不可能です。
どうすれば体の開きや肘下がりを防げるのか?
私は肘下がりの原因はよっぽど肩関節や肩甲骨の動きが硬くない限り「体の早い開き」が原因だと考えています。ですので早期の開きを改善出来れば肘下がりを防ぐことができます。
ちなみにみなさんは「開き」と聞くとどのような状態を想像しますか?実は「開き」には4パターン程あります。
①骨盤が早く投球方向を向いてしまう「骨盤の開き」
②踏み込み足の「アウトステップ」
③踏み込み足(ステップ)のタイミングで骨盤とともに上体も投球方向を向く「上体の開き」
④肘が上がりきる前に上体が回転する「上体の突っ込み」
当院で治療を行うピッチャーはこれくらいはイメージでき、そして改善できるようになってもらいます。
(左:正常 右:上体の突っ込み、早期骨盤回旋)
(代償動作での負担が蓄積することによって障害が発生する)
なぜ早期の開きが生じてしまうのか?
股関節の使い方、骨盤の傾き、体幹の傾き、重心移動での膝の使い方、軸足、ステップ足の安定性など原因は様々ですが、多くはワインドアップ期に原因があります。
ある投球層で問題が生じた場合、原因はその層にあるのではなく「問題が生じた前の段階」にあります。ですので問題の発生した投球層の前の段階での体の使い方を変化させることが大切です。
(それぞれ右 不良例)
肘は上げるのではなく「上げられる」Lagging back現象
体の使い方がうまくいくと肘は勝手に上がるようになります。これをLagging back現象(後方遅延現象)といいます。下肢や体幹が先行して動くことによって、ボールを持った腕が遅れるということです。
釣り竿で遠くにリリースする際に竿が後ろにしなるのと同じ現象です。釣り竿が大きくしなると遠くにリリースできるのと同じで、身体も大きくしなることで速く強い球が投げられます。
このLagging back現象をうまく引き出すためには下半身の使い方、体幹の可動域、上肢の安定性や可動域が必要になります。
まとめ
野球肩や野球肘の治療では、まず損傷している部位を正確に診断・治療することが大切です。
しかしそれだけでは投球障害の根本的な改善は難しいでしょう。投球動作に着目して問題点を改善することは再発防止にもなりますし、さらなるパフォーマンスアップ(球速アップ、コントロールアップ)にもつながります。
当院では野球肩、野球肘にお悩みでしたら、ぜひ一度当院へご相談ください。
ご質問やお問い合わせはLINEでも承っております。
お悩みの方はぜひご相談ください。
(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)