専門家が教える「野球肩を治す6つのストレッチ」

こんにちは。
京都市北区にまりますもり鍼灸整骨院の森です。

わたしは小学校3年生から野球を始めて、高校生の時には甲子園にも出場することができました。
しかし高校生の頃は肩を痛めてしまい、思うようにプレーができず悔しい思いをした経験もあります。
その経験をきっかけに「自分と同じ悔しい思いをしている選手を救いたい」という想いから治療の世界に進みました。

野球による肩の痛みを治すためにも、肩の痛みを防ぐためにもまずは「野球肩の原因」を知ることです。
がむしゃらにトレーニングしてもひたすら安静にしても肩の痛みは治りません。
野球肩でお困りの方は、まずはその原因を知り、正しい治療や対処法を学んでいきましょう!
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【この記事のポイント】

  • まず野球の原因を理解する
  • 「投球」に対する知識を持つこと
  • 「下半身の力を上半身そしてボールに伝えられない」と肩に負担がかかる
  • 肩を痛める原因は肩甲骨、股関節、投球フォームにある
  • 肩甲骨と股関節のストレッチが効果的

 

野球肩とは?

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簡単に説明すると「投げた時に肩が痛くなるもの」です。ですので多くの場合、日常生活での動作には問題がありません。
一般の方の肩の痛み、例えば五十肩であれば「肩が上らない」「腰に手が回らない」などの日常生活での痛みがあります。
野球肩ではこのような日常生活動作での動きには問題がありません。
つまり「投げた時だけ痛い」ということです。

ですので野球肩を治療するためには「投げた時」つまり「投球」に対する専門的な知識が必要ということです。

野球肩メカニズム

「ピッチャーは下半身が大切!」という言葉を聞いたことはありませんか?
なぜ下半身が大切かというと、
「下半身で生まれた力を上半身、腕、最後はボールへと伝える」これが投球だからです。
投げるときに、下半身の力をスムーズにボールへと伝えることができれば、力強いボールを投げることができます。
しかし、何かが原因で下半身の力をスムーズにボールへと伝えることができなければ、上半身だけが一生懸命頑張ってしまいます。
すると、次第に肩に疲労がたまり肩の痛みを発症するのです。

では、野球肩とは一体どこを痛めてしまったものなのでしょうか?痛みの度合いにより軽度、中程度、重度に分けてみて考えてみましょう。

痛めている場所はどこか

『軽度の野球肩』

数日から数週間の投球禁止で治るような痛みの原因の多くは、「インナーマッスル」という筋肉の疲労です。
(図:肩のインナーマッスル)
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『中程度の野球肩』

・数週間から3か月ほど投球禁止を必要とするもの
・良くなったと思っても再発を繰り返す
このような場合は疲労したインナーマッスルが炎症を起こしているか、筋肉以外の靭帯や腱が炎症を起こしている可能性があります。
代表的なものをいくつかご紹介します。

□腱板(けんばん)損傷

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特に棘上筋(きょくじょうきん)という肩のインナーマッスルが損傷を起こしたものです。
肩を上げると痛いという特徴があります。

□腱板疎部(けんばんそぶ)損傷

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棘上筋と肩甲下筋(けんこうかきん)の間にある部分を腱板疎部といいます。
投球動作の繰り返しにより損傷するのですが特に肩の前が痛いという特徴があります。

□インターナルインピンメント

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肩関節に筋肉が挟み込まれるもので、特に肩の後ろの筋肉が挟み込まれます。
投球動作の最大外転外旋位で肩の後ろが痛いという特徴があります。

『重度の野球肩』

3か月以上投球禁止にしても治らない方の痛みは、筋肉や靭帯の損傷のみならず、骨や軟骨などの関節自体を損傷している可能性があります。

□関節唇(かんせつしん)損傷(SLAP損傷)

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関節唇とは肩関節の軟骨のことをいいます。
繰り返しの投球動作により、上腕二頭筋長頭腱(じょうわんにとうきんちょうとうけん)が関節唇を引っ張るような形で損傷することをSLAP損傷といいます。
関節唇が損傷すと、関節が不安定になり筋肉や靭帯などに負担がかかりやすくなります。
関節唇の損傷のせいで痛みが治らない場合は手術になることもあります。

軽度の野球肩は単なる筋肉の疲労が原因ですが、中程度から重度になると身体の使い方や柔軟性、フォームなどに根本的な原因があります。
つまりいくら投球禁止にしても根本的な原因が解決しなければ、なかなか痛みが治らなかったり、再発を繰り返すことになってしまいます。
次は肩を痛めてしまう根本的な原因をみていきましょう。
(肩の損傷についてもっと詳しく知りたい方はこちら【投球障害やスポーツによる肩の損傷】

野球肩の原因とは?

「下半身の力をスムーズにボールへと伝えることができない」
これが野球肩になるメカニズムだと先ほど説明しました。ではなぜ下半身の力をスムーズに伝えられないのか?
私は特に「柔軟性」「筋力」「フォーム」に原因があると考えています。
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。

①柔軟性

特に肩甲骨と、股関節の柔軟性が大切です。

股関節が硬い場合

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(上:膝割れ 下:早い開き)
股関節が硬い「ひざ割れ」「身体の早い開き」の原因になります。
このようなフォームになってしまうと、下半身の力をうまくボールに伝えることができず、次第に肩に疲労がたまってきます。

肩甲骨が硬い場合

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肩関節は肩甲骨と上腕骨が一緒になって動いています。
例えば肩を180°上げたとき、肩甲骨が60°、上腕骨が120°動いているとされています。
つまり肩甲骨の動きが悪いと、その分上腕骨が動かなければならないということです。
すると上腕骨に付くインナーマッスルや靭帯、軟骨などを痛めてしまう可能性が大きくなってしまいます。

②筋力

特にお尻や太ももなどの力強い筋肉や、肩まわりのインナーマッスルが大切です。

お尻や太ももの筋肉が弱い場合

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(赤丸:股関節や足関節が弱く体重を支えらていない)
投げるとき、左投げであれば右足を前に出します(上写真)。この時によいフォームの人ほど右足に体重が乗ります。
お尻や太ももの力が弱いと、右足にかかる体重をきちんと支えることができず強いボールを投げることができません。
すると上半身の力ばかりで投げようとするので肩や肘を痛めてしまいます。

肩のインナーマッスルが弱い場合

ボールを投げるとき、肩にはかなりの負担がかかります。
この負担から肩関節を守っているのがインナーマッスルです。
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インナーマッスルが弱かったり、うまく使えていないと肩に大きなストレスがかかり野球肩になってしまします。

③投球フォーム

「早い開き」「ひざ割れ」「上体投げ」「肘下がり」など様々な悪い投球フォームがあります。
これらはすべて下半身の力らをボールにうまく伝えられない原因となります。
フォームの悪さというのは技術面だけではなくて、柔軟性や筋力が不十分なために起きてしまっている場合があります。
例えば股関節が硬いと「早い開き」になりますし、肩甲骨が硬いと「肘下がり」の原因になります。
このような場合は、柔軟性や筋力をつけることでよいフォームになることがあります。

野球肩を自分で改善する方法

肩の痛みを予防、もしくは改善するために大切なストレッチを6つご紹介します。
今回は治療や予防に大切な股関節と肩甲骨のストレッチをおこなっていきましょう。

肩甲骨のストレッチ

肩甲骨のストレッチをおこなうことで、肩への負担を軽減し痛みを予防することができます。
軽度から中程度の損傷であればこのストレッチだけで良くなることもあります。

肩甲骨ストレッチ①

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横向きに寝て肩と肘を90°に曲げます。手の平がベッド(地面)に近づくように反対の手で押します。
理想は手の平がベッド(地面)に付くようになることですが、痛みの出ない範囲でストレッチしましょう。

肩甲骨ストレッチ②

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体の前で肘とこぶしを合わせます。次に、肘とこぶしが離れないように肘を高い位置まで持ち上げます。
肩甲骨の内側が伸ばされるような感じが出ればうまくストレッチできている証拠です。

肩甲骨ストレッチ③

写真のような形で横向きに寝ます。
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ゆっくりと上の腕を開いていきます。出来るだけ肩のラインと平行に開いていきましょう。
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この時しっかり脱力して胸の前が伸びている感覚を出しましょう。

股関節のストレッチ

股関節のストレッチをおこなうことで「体の早い開き」や「ひざ割れ」などを防止して、結果的に肩への負担を少なくすることができます。
コントロールやスピードアップにも役立ちますのでぜひ試してみてください。

股関節のストレッチ①

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伸ばしたい側の足を前に出し、膝は曲げます。
ゆっくりと上体を前に倒すことで股関節を外側にひねるストレッチができます。

股関節のストレッチ②

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地面に座って足を組み、伸ばしたい側の膝を内側に倒します。
そうすることで股関節を内側にひねるストレッチができます。

股関節のストレッチ③

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片膝を立て、片膝を地面につけます。
足を引いている側の股関節の前が伸びるように、体重を前もしくは下の方にかけていきます。

これは当院で実際に指導している内容で、特にこの6つのストレッチはほとんどの選手に指導しています。
軽度であれは数日から数週間の投球禁止とこのストレッチだけで良くなるケースもあります。
まだ痛めていないような選手は予防やパフォーマンスアップのためにおこなうのもよいでしょう。
なかなか良くならない方の痛みの場合、必ず野球肩を専門とする病院や整骨院などで治療を受けながら、補助的にこのストレッチをおこないましょう。
各先生方の治療方針もありますのでストレッチを取り入れる時は治療を受けている先生に一度相談してみてくださいね。

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(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)

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