皆さんこんにちは。
もり鍼灸整骨院院長の森です。
今回は膝の変形による痛みをどうやって治していくのか、またはその膝の痛みが本当に骨の変形が原因なのかというようなお話をします。
実は骨の変形による膝の痛みでも、治療していけば十分に良くなる可能性はあります。
なので膝の変形が起きているからと言って、その痛みを諦める必要はありません。
膝関節症の真実:変形と痛みは一致しない
ではなぜそのように言えるのかということを今からお話ししていきます。
まず大事なポイントが2つあります。
①骨の変形と痛みは一致しないということです。
②軟骨自体は痛みを感じないということにあります。
変形があっても痛みがない人が半数
まず変形と痛みが一致しないことですが、実はレントゲンで中程度から重度の変形が確認された患者さんのうち、痛みを感じているのは半分程度(50%程度)ということが研究で分かっています。
逆に言うと、残りの半分は中程度から重度の変形があったとしても痛みが出ていないのです。
また、膝の痛みを訴えて病院に受診された患者さんの85%の方は、レントゲン上では軽度の変形しかないと診断されているということも分かっています。
つまり、関節の変形があったとしても、必ずしもその変形が痛みの原因ではないということが言えます。
膝関節症は軟骨がすり減るだけでは痛みにならない
また、関節の変形では軟骨がすり減るというようなお話を聞くと思うんですが、実は軟骨がすり減るだけでは痛みって出ません。
これはなぜならば、軟骨には痛みの神経というのは通っていないからなんです。
軟骨が全てすり減って削れてなくなってしまうと、その下の骨が露出になって、そこが痛みを起こすケースはあります。
ですが、診断書で変形が軽度から中程度と言われるような人は、軟骨というのはしっかり残っているので、それ自体が痛みを引き起こしているわけではありません。
考えてみたら当然ですが、軟骨に神経が張り巡らされていたら、立っているだけでも正常な人でも常に痛いわけですよね。
この軟骨に負荷(圧力・体重)というのはかかってしまうので。
なので軟骨がすり減っただけでは痛みが出ないということは覚えておいてください。
膝が痛みを出す2つの原因
ではなぜ痛いのかというお話なんですが、痛みの原因というのは2つあります。
1. 骨挫傷(こつざしょう)
1つは今お伝えした軟骨の下の部分が損傷してしまうということです。
軟骨が剥がれてしまって、その下の組織(骨組織)自体が露出になって、軟骨より下の部分が損傷する。
これを「骨挫傷」と言うんですが、骨挫傷が起きてしまうと、骨には神経が通っているので痛みを引き起こします。
2. 滑膜炎
でもう1つは「滑膜炎」と言って、膝の周りというのは滑膜という膜に覆われています。
この膜が炎症を起こしても痛みを引き起こします。
例えば、軟骨が削れて軟骨の小さい破片が関節内に出てしまうと、その破片が膜を刺激して滑膜を刺激して炎症を引き起こしてしまうことがよくあります。
または関節が腫れたりとか炎症を起こすと、関節の中で圧力が膨張してしまって滑膜に刺激を与えて痛みを引き起こすケースもあります。
簡単に言うと、骨自体が傷んでしまっているか、膜が炎症を起こしているかということです。
実際には前者の方は圧倒的に少ないと考えてもらってもいいと思います。
骨挫傷まで起こしているとそもそも歩いて病院まで行けますかっていう話になりますし、骨挫傷にまでなると病院に行くと「今すぐ手術」って言われる可能性が高いです。
なので「ちょっと様子を見てください」とか「痛み止めとシップで終わる」ような診断の場合は、ほとんどの場合で滑膜の炎症が痛みの原因になっていると考えてもいいのかなと。
これはあくまでも私の見解ですが、そういう風に思います。
変形性膝関節症の治療法
なので変形性膝関節症による痛みを治すには、基本的には滑膜炎を治していけばいいということになります。
つまり炎症を引かせるということです。
じゃあ炎症を引かせるにはポイントが3つあります。
1.炎症を引かせるための取り組みを行う
2.炎症による腫れを早く引かせる
3.膝全体の循環を良くしてあげる
膝の炎症を早く引かせる3つのポイント
1. 炎症を引かせる取り組み
基本的には痛みが強い時にはあまり動かさない、運動しないということです。
よく「痛みがあっても運動しましょう」という風に言われるのですが、明らかな炎症が起きている場合は頑張って運動はしない方がいいです。
この場合はサポーターとか、できたら包帯とかで固定をして、関節をある程度保護してあげる、無理な負荷がかからないようにしてあげるということが大切になります。
また当院の治療では特殊な電気治療機を使うのですが、その治療機というのが腫れを早く引かせたり、炎症を早く引かせたりという治療の効果があります。
痛みが強い方、もしくは腫れが明らかにあるような方は、そういった電気治療もうまく活用し、そして適切な固定の方法などを行って、早く炎症を引かせていきます。
2. 腫れを引かせる
2つ目のポイント、腫れを引かせるということなんですが、これも炎症に伴って腫れが出ているケースが多いです。
または炎症がなくても腫れが引きにくい状態になっていたら、膝の関節というのは腫れたままになってしまいます。
簡単に言うと
・腫れがある場合というのは炎症があるか
・もしくは腫れが引きにくい何かがあるか
ということが原因として挙げられます。
腫れが引きにくくなっているケースというのは、筋肉とか靭帯や膝回りのそういった組織が硬くなったりとか動きにくくなっていると引きにくいので、そういったのを改善してあげると膝の腫れが早く引いていきます。
そういった治療技術というのがあるので、治療ではそういった技術を使って腫れを引かせていきます。
またある程度ならセルフケアでも改善できるので、軽度の方はそれでも改善していくケースがあります。
ただし中程度から重度の方は、治療で腫れを引かせていくということが必要になります。
3. 膝の循環を良くする
そして膝の循環を良くするということなんですが、炎症とか腫れが長く続くと膝関節周囲の靭帯とか筋肉も硬くなります。
これを無理に動かしてしまったら余計悪くなったりするので、無理なストレッチや運動などもあまりお勧められない。
そういった場合は関節に負担の少ない整体治療で膝の循環を良くしていくことができます。
整体治療というのはゴキゴキとかバキバキするのではなく、優しいソフトな刺激で関節の動きをスムーズにすることができるので、無理なく循環を良くすることができます。
この時点で歩く時の痛みとかがそんなに強くなければ、歩くことも大切です。
歩いて循環良くしていくことも大切ですし、体重が増えてしまうと関節の負担も増えるので、体重のコントロールをしていくということも大切になっていきます。
動画では分かりやすくご説明していますのでよろしければご覧ください⇩
まとめ
このように適切な処置とか治療とか対処を行っていけば、十分に関節の炎症(滑膜炎)というのを改善していける可能性はあります。
もちろん当院にもたくさんそういった症例があります。
骨の変形自体を治すことというのはやはり一度壊れたものは元には戻らないんですが、炎症を改善するってことは全然可能です。
ですので痛みにお悩みであれば、その痛みを改善できる可能性は高いと考えていただいてもいいかなと思います。
ただし骨挫傷にまでなっていると改善が難しいケースもあるので、そうならないためにも早めの治療とか早めの対処が必要だと思います。
ですので骨の変形があると言われても諦めずに、まずはお近くの治療院、整骨院、信頼のできる整体、病院でもリハビリをしてくれるようなところに行き、症状改善のための取り組みを行ってもらえればと思います。
当院での治療について
もちろん当院でも膝の治療を行っておりますので、お近くの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。
膝の痛みでお悩みの方は、諦めずに適切な治療を受けることで改善の可能性があります。
お気軽にお問い合わせください。
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(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)