皆さんこんにちは。
もり鍼灸整骨院 院長の森です。
今回は股関節の痛みを改善する方法をお伝えします。
特に股関節の前の部分、この鼠けい部の辺りが痛くなってしまう症状の原因と改善方法について詳しく解説していきます。
結論から言うと、股関節の前の痛みの原因は「弾発股」と呼ばれる症状で、股関節鼠けい部の前の辺りについている腸腰筋という筋肉が、骨盤の腸恥隆起という骨と擦れて痛みを出しているケースが多いです。
これを正式には「内側型の弾発股」と呼びます。
症状がひどい場合は、この股関節の前の辺りでポキポキ、パキパキという音が鳴る方もいらっしゃいます。
痛みがなく音だけ出ている方もいれば、音は出ないけれど痛みだけ出ているという方もいらっしゃいます。
簡単に言うと、腸腰筋という筋肉が骨との間で擦れてしまって炎症を起こし、痛みを出している状況になっているのです。
目次
腸腰筋と弾発股のメカニズム
腸腰筋という筋肉は腰の骨の横の辺りから始まって、股関節の大腿骨(足の骨)の内側、股関節の内側に向かって伸びている筋肉です。
この筋肉が骨盤の骨の出っ張り(腸恥隆起と呼びます)との間で擦れてしまうのです。
炎症を起こしてしまったり、人によってはこの骨を乗り越える時、骨の間を左右に動く時にパンパンという弾くような現象が起きます。
これを弾発現象と言います。
その時にポキポキ、ゴリゴリといった音が股関節で鳴るケースがあるのです。
治療の基本的な考え方
治療としては、先ほどお伝えした腸腰筋という筋肉が炎症しているので、その炎症を抑えていったり、筋肉が硬くなっていればその筋肉を柔らかくしていくことがベースの治療になります。
そこで今回は、腸腰筋を柔らかくして、股関節の痛みが少しでも緩和できるような方法を皆さんにお伝えしていきたいと思います。
ストレッチ前の簡単な検査
ストレッチを行う前に、まずは簡単な検査をしてみましょう。
大体は股関節の痛みが出ている側、不調が出ている側の動きが悪くなっているので、椅子に座り、足を上に持ち上げてください。
持ち上げた時、できるなら上がるところまで、体が後ろにのけぞったりしないように、上がるところまでぐっと上げてみてください。
そうするとトラブルがある側の股関節の方が、少し動きにくかったり上がりにくかったり、または痛みが出てしまうということもあります。
腸腰筋に刺激を入れるストレッチ①
まずは椅子に座ってください。
腸腰筋に刺激を入れていくのですが、触る場所としては鼠けい部の辺りにある鼠けい靭帯というものを目安にします。
Vラインの形になって靭帯が走っている部分があり、その奥の方に腸腰筋という筋肉があります。
間接的にそこを刺激していきます。
鼠けい部は股関節の一番曲がるところです。
Vラインの靭帯が走っているので、その靭帯に対して指を横に動かしてみると、靭帯の部分がコリコリという風に触れます。
なお、鼠けい靭帯のラインに沿って縦に動かしてもコリコリと感じません。靭帯に対して垂直に触るから、コリコリと触れることができます。
少し幅があるので、下の方、上の方と場所を探っていってもらうと、「ここ押すと痛いな」というところがなんとなく分かると思います。
その位置が一番効果的なポイントになるので、「痛いな」という部分があったら、そこをしっかりと捉えてください。
少し足を開いて触ったあとは、足を少しまっすぐに戻します。
完全に閉じるよりかはやや開いた状態が理想です。
開きすぎても良くないので、上記画像くらいに足を開いていただいて、ある程度ぐっと押しながら体を前屈していきます。
両手で押すのがやりにくい場合は、親指だけで押してもらっても大丈夫です。
できるだけ深くかがみ、この股関節の辺りで自分の手を挟み込んでいくようなイメージを持ってください。
ぐっと押したら前にかがんで、手の力を緩めずにぐっと前に。
そうすると少しツーンと痛みが出るかなと思いますが、これがきつくない程度でしたら全然オッケーです。
あまりにも痛い場合は、押している場所が骨の上や不適切な位置にある可能性があります。
「この辺りかな」と思う場所を見つけたら、そこを押しながらゆっくりと前方に体を倒していきましょう。
押す力は一定に保ちながら、この姿勢を約20~30秒間維持します。
手に疲労を感じるかもしれませんが、圧力を緩めずに20~30秒間しっかりとキープすることがポイントです。
痛みのある箇所をしっかりと捉えた状態で、できるだけ全身の力を抜いてリラックスしてください。
深呼吸をしながら体の力を「ふーっ」と抜き、筋肉にじわりと刺激が入っている状態を意識しましょう。
20~30秒経過したら、ゆっくりと元の位置に戻します。
腸腰筋に刺激を入れるストレッチ②
今度は症状のある側の足を伸ばして、椅子には少し浅く腰かけてください。
浅く腰かけて、痛い側の足を伸ばして、もう一度先ほど触った鼠けい靭帯位置に触ります。
硬いところを触ったら、今度は足をブラブラと左右に動かします。
これも15秒から20秒で十分です。
鼠けい靭帯はしっかり押したままでブラブラと動かします。
そうするとわずかですが、この鼠径部で触っている辺りの筋肉も一緒に少し動いている感じが分かると思います。
少し押さえるポイントをずらしながら動かしても問題ありません。
できれば、①と②のストレッチを3セットほど繰り返してください。
今回ご紹介したストレッチは、YouTube動画でより詳しく解説しています。
是非そちらも併せてご覧ください。
ストレッチ後の効果確認
では、股関節の動きを確認してみましょう。
先ほどストレッチする前に確認した股関節の動きがどうなっているか、もう一度チェックしてみてください。
うまくできていれば、多くの方で股関節が動きやすくなっていると思います。
または痛みが軽減されていることもあります。
その他にも「こうすると痛みが出る」という特定の動きがあれば、その動きを実際に行って効果を判断してください。
ただし、このストレッチを1回行っただけで完全に改善されるとは限りません。
やはり繰り返し行ったり、何日間か継続することで症状が改善される可能性が高くなります。
少なくとも動きについては、多くの方が動きやすくなったと感じられるのではないでしょうか。
できればこのセルフケアを2週間から3週間程度、1日1回でも良いので続けてみてください。
余裕のある方は朝昼晩と行っていただいても効果的です。
このような対処を行ってもなかなか痛みが改善されないという場合は、それだけ症状がひどくなっている可能性があるので、できるだけお近くの治療院で治療を受けていただくなどの対処を取ってもらうのが一番かなと思います。
もちろん当院でも股関節の痛みの治療を行っておりますので、お近くの方はぜひ一度ご相談ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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(柔道整復師・鍼灸師 森洋人 監修)